【テクニック4】:新値更新
2024年6月更新
こんにちは! 株式投資で生きているロジカです
この記事ではテクニカル分析のテクニック4「新値更新」(しんねこうしん)を解説します
新値更新は「株価の上昇や下落がどれくらい続くのか」を簡単に知ることができるテクニックです
あなたが買った株が上昇していたとして、それはどこまで上がるのか?
あなたはもちろん
一番高いところで売って儲けたい
と思うでしょうし、
下がって損するかもしれないから早く利確したい
とも思うかもしれません
そんなときに「どのあたりで上昇が止まるか」という目安があれば、買った株の売り時がわかり、利益を最大限に伸ばしながら利確できます
「新値更新」はそんな株価の有効期限を教えてくれる素晴らしいノウハウです
この考え方を覚えると
「株価はそろそろ上げ(下げ)止まるから利益を確定しよう」
というイグジットタイミングや
「株価の上昇はそろそろ終わるから、ここで空売りをしかけよう」
というエントリータイミングの狙いどころを定められるようになります
新値更新は実践で欠かせない技術です。確実に理解してください!
この記事では
というような疑問に答えていきます
それでは学習していきましょう
これまではチャート全体の傾向をつかむテクニックが多かったけど、新値更新は「これからトレードすべきか」を判断するためのテクニックだよ
新値更新5日の法則とは
株価というのは上がったり下がったりするものですが、一体いつまで上がって、いつまで下がるのでしょうか。そこに何らかの規則性はないものでしょうか
それがわかれば利益を最大限に伸ばすことができて、トレードを仕掛けるタイミングにも利用できます
結論からいうと、上昇や下落を続けている株は一定のパターンで動きます
それが山下けいさんが提唱している「新値更新5日の法則」という考え方です
新値更新は次のように定義されています
新値更新
上昇ならば当日の終値が前日の終値を陽線で上回ること。下落はその逆で、当日の終値が前日の終値を陰線で下回ること
新値更新5日の法則
新値を更新するような上昇・下落の有効期限はだいたい5日しかなく、5日間、新値を更新したら株価は利益確定の反対売買によって反転することが多い
文字情報では難しいのでチャートを使って説明しましょう
上昇新値は下げ局面のあと、最初に出た陽線を「1」と数えて、次に1の陽線より終値が高い陽線が出たら「2」、さらに終値ベースで高値更新した陽線を「3,4,5…」と数えていきます
陰線が出たり、途中で前日終値よりも下がったりしたらどう考えればいい?
途中で現れた陰線は、たとえ終値が前の陽線を上回っていても上昇の勢いが弱いためカウントしません。また陽線でも終値を上回っていなければ数えてはいけません
逆に前日の陽線の始値を下回るような陰線が出ても、その動きが2日以内なら無視してOKです。ただし高値更新がないローソク足が3本以上でてしまった場合は株価が横並んだと判断してカウント終了します
これは日本製鉄の日足チャートです▼
こんな感じで上昇や下落はおおよそ新値更新5日で上げ止まったり、下げ渋ったりすることが多いです
それはどんなに強い上昇・下落が続いていても、その値動きで儲けた投資家の利益確定の動きが必ず入るため、ほとんどの場合に反転上昇や反転下落が起こるためです
この新値更新は7日や9日など諸説ありますが、「5日」は山下けいさんが研究に研究を重ねて導き出した高い精度を持つ期間設定です
さらに詳しく知りたい方は山下けいさん書籍をご覧ください▼
新値更新をトレードに応用するには
それでは「新値更新5日の法則」を実際のトレードで使ってみましょう
新値更新は大きくわけると「利益確定」と「エントリー」の2つの判断に利用できます
利益確定は買いや空売りで売買をしているときに、どこまで上がったり下がったりしたら利確するかを判断します
利益確定
- 上昇局面の買いで新値更新が5日続いた後に陰線が出たら利益確定
- 下落局面の空売りで新値更新が5日続いた後に陽線が出たら利益確定
以下は具体例です。中期線で反発した株を買って利益確定するトレードです▼
移動平均線が「短期>中期>長期」の順となり、上昇トレンドに入りました。上昇トレンド中は短期線が中期線で反発しやすいという特徴があります
そこで、短期線が中期線に近付いてローソクが中期線の下にもぐった後に、陽線で中期線を上に突き抜けたところで買いエントリーします
このポイントで買う理由は、ローソクが大きく突き抜けているということは短期線も上向きに変わるはず、と予測できるからです
うまくエントリーできたのはいいのですが、ここからどこまで上がるのか? ここで新値更新を使います
新値更新を5日数えて5日目以降の陰線で利益を確定します。これだけで約10%の利益が取れました!
こちらは高値と安値の間で利益を狙った例です▼
短期線が中期線を上下にまたいでいるため、横ばいトレンドであることがわかります
前の高値に到達したことを確認して、陰線が出た日に売りを仕掛けます。ここからどこまで下がるのか? ここで新値更新を使いましょう
新値更新を5日数えて5日目以降の陽線を待ちます。この例では新値更新9日を達成した翌日に陽線が出たところで利益確定です
ちなみに陽線が出たところは前の安値にも一致していて、これ以下に下がる見込みは薄く、文句なしの利確ポイントです。このトレードで約13%の利益です!
このチャートではもう1つ例を挙げています
今度は前の安値まで下落したことを確認して、陽線が出た日に買いエントリーします
ここからどこまで上がるのでしょうか? もちろん新値更新を数えればOKです!
新値更新を5日を達成した翌日に陰線が出たので利益確定しましょう。約8%の利益が取れました
新値更新は利確ポイントを的確に教えてくれるよ。エントリーしたら新値更新を数えよう!
次はエントリータイミングへの応用です。これから新しくトレードしようと、株価が狙いの価格に近付いてきたときに、どのポイントで売買を仕掛けるか判断できます
エントリー
- 下落していた株に新値更新5日目以降の陽線が出たら、買いでエントリーする
- 上昇していた株に新値更新5日目以降の陰線が出たら、空売りでエントリーする
エントリーの具体例も紹介します
ずっと下落してきた株価が節目まできたので、そろそろ上昇するだろうと考えて買いでエントリーをする例です▼
移動平均線が「短期<中期<長期」の順で、下落トレンド中であるとわかります。約5カ月間の長期にわたり下落が続いており、そろそろ上昇を考えたいところです
よく見ると2000円の大きな節目があるので、その価格あたりで買いを仕掛けます。しかし2000円と言っても
- 2000円にタッチした瞬間に買うのか
- 2000円を割ってから買うのか
- 2000円に届かなくても買うのか
と迷うことがあると思います
この細かいエントリータイミングを決める材料が新値更新です!
具体的にチャートで解説します。直前の横並びから陰線が飛び出した日を1日目として、新値更新を数え5日目以降の陽線を待ちます
この例では新値更新5日を達成した翌日に陽線が出ました。ここで迷わず買いエントリーしましょう!
その後、株価は予想どおり上昇していきましたね。利確は新値更新で判断するか、長期線にタッチしたあたりを目安にするといいでしょう
次の例は、下落トレンド中に一時的に上昇したが、長期線に跳ね返されると予想して空売りを仕掛けるトレードです▼
5カ月以上も続いている下落トレンド中に、初めて中期線を大きく超えて上昇していきました
このようなケースでは長期線に跳ね返されて再び下落することが多いんです
目安としては、3ヶ月以上の下落後に初めて長期線にタッチする場合に使うといいでしょう
それでは売りを仕掛けるエントリータイミングはいつでしょう?
- 長期線にタッチした瞬間に売るのか
- 長期線を超えてから売るのか
- 長期線に届かなくても売るのか
と迷ってしまいそうですが、もちろん新値更新で考えます
具体的にチャートを見ると、下落終盤では横並びが発生しています。ここから陽線が飛び出した日を1日目として、新値更新を数え5日目以降の陰線を待ちます
新値更新7日の翌日に陰線が出ましたね。ここで迷わず売りエントリーです!
その後の株価は予想どおり下落していきました。利確も新値更新で判断するといい感じで利益を得られそうです
いかがでしたか?
このように新値更新は利確とエントリーのどちらにも使える便利な技法です
陽線や陰線が続いたら新値更新を「1、2、3、…」と数えるクセをつけましょう
新値更新は「トレンド」や「高値・安値」、「節目」と組み合わせると効果が倍増するぞ
まとめ:細かいトレードタイミングをはかるのに大活躍!新値更新で利益を最大化しよう
「新値更新」について記事のまとめです
- 新値更新とは、上昇ならば当日の終値が前日の終値を陽線で上回ること。下落はその逆で、当日の終値が前日の終値を陰線で下回ること
- 新値更新5日の法則とは、新値を更新するような上昇・下落の有効期限はだいたい5日しかなく、5日間、新値を更新したら株価は利益確定の反対売買によって反転することが多いという法則性のこと
- 上昇局面の買いで新値更新が5日続いた後に陰線が出たら利益確定する
- 下落局面の空売りで新値更新が5日続いた後に陽線が出たら利益確定する
- 下落していた株に新値更新5日目以降の陽線が出たら、買いでエントリーする
- 上昇していた株に新値更新5日目以降の陰線が出たら、空売りでエントリーする
新値更新は利確とエントリーのタイミングを最適化し、利益を最大化できる手段です
チャートを長期間で眺めてトレンドや高値・安値、節目を確認したら
この株、今は下落トレンドだな
とか
高値や節目があるから、株価はここで止まりそうだな
と予測を立てます。そのうえで
じゃあ、ここでエントリーしたら儲かりそうだな
と作戦を練って参戦していくわけですが、このときに具体的なエントリーポイントを決めるお役立ちスキルが新値更新です!
トレンドや高値・安値、節目はチャート全体の傾向と重要株価をチェックするもので、言わば株式相場という「森」全体を見ています
それに対して新値更新は直近の上昇と下落の限界を測るもので、森の中で一本一本の「木」を見るものだと言えるでしょう
全体を見渡して狙いのエリアを定めたら新値更新で仕留める! これを覚えてください
売買をする直前には、「新値更新5日」を必ず確認してね
これまでのテクニック1~4を組み合わせると、ある程度は利益を出せるようになります
何度も何度も読み返し、デモトレードを反復して頭と体にたたき込んでください
この先はトレードの精度を高めたり、投資判断の助けになったりする指標を紹介していきます
次のパートでは「価格帯別出来高」を学習します。通常の出来高とは異なる価格ごとの出来高。そこからわかる投資家心理をトレードに利用します▼
それでは更なる知識を求めて、この調子で読み進めていってください
そんな感じで終わります!